理事長メッセージ

市民がつくる「未来発電所」

 2011年3月11日、東日本大震災は、多くの尊い命と生活と故郷を奪い、さらに福島第一原発事故が世界を根底から変えるほどの衝撃を与えました。エネルギー政策の転換はもとより、日本は長い年月向き合っていかねばならない放射能汚染、除染と廃炉、放射性廃棄物、賠償という大きな問題を抱えることになりました。このような中、放射性物質を産み出さない方法で発電する安心な電気を買いたいと、多くの市民は願うようになりました。

 今までにない豪雨による大水害、土砂崩れが連続して各地を襲い、直近ではフィリピンを巨大台風が襲いました。地球温暖化がさらに加速していると警告しているように思えます。地球温暖化を少しでも早く食い止めるための対策を、世界中が一刻も早く打たねばなりません。それは省エネとエネルギー利用の効率を高め、再生可能エネルギーを出来るだけ多く各地域で導入できるかにかかってきます。

 私は、サークルおてんとさんで市民自らが安心できる電気を産み出そうと、市民の資金による「太陽光市民共同発電所」を県内4か所(全施設で50kW)に作ってきました。そして2012年7月再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入以降は、県内外の同じ志を持つNPOの皆さんと一緒に市民出資の手法を検討してきました。地域活性化の視点からも、地域資源である小水力や木質バイオマス利用を模索する動きが県内でも点から面へと広がり始め、大きな可能性を秘めていると感じています。さらに2012年9月から行政やNPOの方々と開催してきた「低炭素の地域づくり」の会議を通じて、県南部で小水力利用などを進めている方々に出会い、一層その思いを深めました。
 その第一歩として、市民のそうした「思い」を「形」にするために、ならコープの本部(奈良市恋の窪)の屋根をお借りして市民の皆様の資金を活用した太陽光発電システムを設置し、20年間全量売電をして、地域のエネルギーを創っていきます。
 安心できるいきいきとした奈良の未来の地域社会づくりのために、ぜひ皆様のご協力をお願いいたします。
一般社団法人地域未来エネルギー奈良 清水順子
一般社団法人 地域未来エネルギー奈良
理事長 清水 順子